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生きていく絵 アートが人を〈癒す〉とき

生きていく絵
著者 荒井 裕樹
価格 2,420円(税込)
発売日 2013年9月20日
判型 四六判
製本 上製
頁数 290頁
ISBN 978-4-7505-1330-0
Cコード C0095

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内容紹介

絵を描くことで生きのびる。
描かれた絵に生かされている。

東京・八王子市の丘に立つ精神科病院、平川病院にひらかれた〈造形教室〉。ここでは心の病を抱えた人たちがアートを通じた自己表現によって、自らを癒やし、自らを支えるという活動をしています。

とはいえ、これは「芸術療法」や「アートセラピー」のように、表現された絵を医療的に解釈したり、診断に活用するといった活動ではありません。つまり、「治す」ことは目的ではないのです。
本書では〈造形教室〉の取り組みと、4人の作家の作品と人生から、表現と人間の関係について考えます。

また、いわゆる「アウトサイダー・アート」や「エイブル・アート」の文脈での作品評価は、この本では行っていません。
「一人の人間が、病みつかれた心を一枚の紙のうえに描くことに、果たしてどのような意味や可能性があるのか」を探り、きちんとした言葉で説明すること。著者・荒井裕樹さんが目指したのは、もっとシンプルでもっと根源的なことでした。

作品そのものと、作者の人生にひたすら向き合うことで見えてくる〈生〉のありかた。それは、おそらく誰にとっても無縁ではない〈生きにくさ〉を照らしだし、そのなかでの〈癒し〉の可能性を示すものになっているはずです。

代表的な8作品をカラーで紹介。

◆目次
はじまりの章
第一章 〈癒し〉とあゆむ 安彦講平
第二章 〈病い〉をさらす 本木健
第三章 〈魂〉をふちどる 実月
第四章 〈祈り〉をちぎる 江中裕子
第五章 〈疼き〉をほりおこす 杉本たまえ
まとめの章
あとがき――さりげなく、やわらかな言葉のために

【書評・メディア情報】
2018年
週刊読書人(3月30日)/大学生がススメる本

著者紹介

荒井 裕樹(あらい・ゆうき)
1980年、東京都生まれ。
2009年、東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学)。
日本学術振興会特別研究員、明治学院大学社会学部付属研究所研究員を経て、現在は東京大学大学院人文社会系研究科付属次世代人文学開発センター特任研究員。専門は障害者文化論・日本近現代文学。障害を持つ人たちの文学活動や社会運動の研究、および医療施設における自己表現活動の支援に取り組んでいる。
著書に『障害と文学——「しののめ」から「青い芝の会」へ』(現代書館、2011年)、『隔離の文学——ハンセン病療養所の自己表現史』(書肆アルス、2011年)がある。

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